こんにちは、antakaです。
三重県松阪市内の基幹3病院が6月1日から、救急車で運ばれたが入院しなかった軽症患者に対して、7700円を徴収することを決定しました。
この措置は、救急出動件数の増加と、それに伴う救急医療体制の逼迫を受けて、軽症者による救急車の利用を抑制する狙いがあります。
市民からは賛否の声が上がっています。
軽症患者への費用徴収の背景
対象となるのは、松阪市の済生会松阪総合病院、松阪中央総合病院、松阪市民病院です。
軽症患者からは、紹介状なしで受診した場合に請求する「選定療養費」として7700円が徴収されます。
ただし、学校での熱中症や交通事故などはこの対象外とされています。
同様の取り組みは伊勢赤十字病院(伊勢市)で2008年から行われていますが、地域の基幹病院が足並みをそろえて徴収するのは全国的にも珍しいです。
松阪市の調査によれば、2022年4~6月に3病院に救急搬送された患者で入院した人の割合は、平日の昼間で50.6%、休日・夜間で37.1%でした。
この結果からも、救急車が軽症患者に多く利用されていることがわかります。
松阪地区広域消防組合(職員数275人)は、松阪市と多気町、明和町の1市2町(人口約19万5000人)をカバーしています。
2004年に7945件だった救急車の出動件数は、2022年には1万5539件、昨年も1万6180件と、2年連続で過去最多を更新しています。
このような増加ペースが続けば、救急の現場がパンクする可能性があると松阪消防の担当者は述べています。
全国の救急車の状況
全国的に見ても、救急車の出動件数は増加傾向にあります。以下は各都道府県別の救急車の台数です。
都道府県 | 台数(約) |
---|---|
北海道 | 500 |
青森県 | 100 |
岩手県 | 120 |
宮城県 | 200 |
秋田県 | 90 |
山形県 | 100 |
福島県 | 200 |
茨城県 | 150 |
栃木県 | 120 |
群馬県 | 140 |
埼玉県 | 500 |
千葉県 | 450 |
東京都 | 1200 |
神奈川県 | 800 |
新潟県 | 200 |
富山県 | 100 |
石川県 | 110 |
福井県 | 90 |
山梨県 | 100 |
長野県 | 250 |
岐阜県 | 200 |
静岡県 | 300 |
愛知県 | 500 |
三重県 | 150 |
滋賀県 | 120 |
京都府 | 250 |
大阪府 | 600 |
兵庫県 | 400 |
奈良県 | 110 |
和歌山県 | 120 |
鳥取県 | 80 |
島根県 | 90 |
岡山県 | 150 |
広島県 | 250 |
山口県 | 140 |
徳島県 | 100 |
香川県 | 100 |
愛媛県 | 130 |
高知県 | 100 |
福岡県 | 500 |
佐賀県 | 90 |
長崎県 | 150 |
熊本県 | 200 |
大分県 | 140 |
宮崎県 | 120 |
鹿児島県 | 200 |
沖縄県 | 100 |
軽症の具体例と適切な対応
軽症とは、緊急性が低く、入院や集中治療が必要ない患者の状態を指します。具体的には以下のようなケースが該当します。
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軽い捻挫や打撲
- 安静にするか冷やすことで症状が改善することが多い。
-
軽度の切り傷や擦り傷
- 出血が少なく、家庭用の救急箱で処置が可能な程度。
-
軽い頭痛や腹痛
- 市販薬で対応可能な慢性的な症状。
-
風邪やインフルエンザの軽症状
- 軽い発熱や喉の痛みなど、家庭で安静にしていれば治る症状。
-
軽度のアレルギー反応
- 皮膚のかゆみや軽い発疹など、市販薬で対応可能な症状。
救急車有料化に関する意見と課題
賛成意見
医師の中には、救急車の有料化に賛成する意見も多くあります。
彼らは、救急車が必要でない軽症患者がタクシー代わりに利用している事例を多く見てきたことから、有料化が適正利用を促す手段として有効だと考えています。
特に、濫用を防ぐことで、本当に必要な患者への迅速な対応が可能になると期待されています。
反対意見
一方で、市民の中には強い反対意見もあります。特に、高齢者や経済的に余裕のない人々が救急車の利用を躊躇することで、手遅れになるリスクが高まることを懸念する声が多いです。
また、救急車を呼ぶべきかどうかの判断が難しいことから、有料化が市民にとって負担になるという意見もあります。
救急隊員の間でも、有料化に反対する意見が少なくありません。
彼らは、現場での混乱やトラブルが増えること、そして本当に救急車を必要とする人が利用をためらうことを懸念しています。
結論
救急車の有料化は、適正利用を促進するための一つの手段として注目されていますが、その実施には慎重な検討が必要です。
市民の理解と協力を得るためには、救急車の役割や正しい利用方法についての啓発活動を強化することが重要です。
また、軽症者が利用できる民間救急サービスの導入や、相談窓口の充実も併せて検討する必要があります。
松阪市の取り組みが他の地域にも広がり、救急医療体制の改善に寄与することを期待しています。
ご覧いただきありがとうございました。💮